NUMANOI / 間境新生        

間境新生(宮島口まちづくりコンペ応募案)

まちに生態系を育み「間境」を新生する

古来より宮島口は、本土の日常性と宮島の神聖性の「間」あり、 また広島や廿日市など都市部と瀬戸内海の豊かな自然の「間」でもあったことから、 海運や参詣を目的に多くの人々が宮島口を訪れた。しかし、近年は高い護岸が自然とのつながりを絶ち、 増加した自動車やバスは観光客を宮島へのフェリー乗り場に直接結び付けたため、 宮島口は「間」の位置を失い、「通過される地区」へと陥った。 本来の「間」とはただ通過する場所ではなく、それは異なる環境の「境」であり、両者をつなげる空間だ。 地理的に山と海に挟まれ、文化的にも都市部と歴史的町並みに挟まれた宮島口は異なる環境の媒介となる「間」であり、 この宮島口特有の性質を「間境」という言葉で表現した。

間境を新生する3つの視点

宮島口を未来につなげる「間境」として新生するため、本提案では、 まちづくりに欠かせない3 つの要素「交通」「にぎわい」「環境」を生態系に見立て、 まちのなかに生態系を育んでいくことで豊かな間境を生み出していく。 交通面では、来訪者が宮島のゆったりとした時間感覚に馴染むことを目標に、駐車場利用システム改善による交通結節機能の強化、歩行者空間の拡大を図っていく。 にぎわい面では滞在型観光の育成を基調に、既存ハードを活かしたにぎわい事業、宮島口でしか体験できない産業の育成を図り、より深みのある観光体系を実現する。 環境面では、護岸で阻まれた海とのつながりを取り戻し、 宮島口独特の風景創出へつなげていく。単なる自然再生に留まらず、 生態系が豊かになることと街が育っていくことがリンクし、年月とともに宮島口の「間境」が育っていく。



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※中野卓、本間百合、茅野荘志との共同制作